人体を描けるようになりたくて4ヶ月間勉強した話(2)
前回は「人体など描けなくても漫画は描ける」と息巻いていた私が、人体の描き方を真剣に勉強しようと思ったきっかけを書きました。
その記事がこちら。
今回からは方法論です。
どうやって人体の描き方を学ぶか
自分の実力を把握する
さあ、いっちょやってみっか!と脳内のやる気が野沢雅子さんの声で喋り出した時に、私がまず最初にやったことは
「4ヶ月で16Pの漫画を描き、模写ならある程度できる自分が今、資料なしでどの程度人体が描けるのか」
を把握することでした。
その時描いた絵がこちら。
今日び小学生でももっと上手く描けますよ。
絵柄も古いし、自分が小・中学生だった頃に描いてた絵から全く進歩が見られません。
描いてる最中ずっと「こりゃあかんわ」と思っていました。
「こんな実力でよくBUCK-TICKメンバーを描こうと思ったな」と思いました。
と同時に「これでよく今までやってきたな」とも思いました。
これはちょっとした自慢でもあるのですが、2019年にハースストーンというゲームを作っているBlizzardという会社主催の「ハースストーンイラストコンテスト」というのがあり、そこで入賞したことがありました。
その時の絵がこちら。
入賞賞品がiPadminiとApple Pencilだったのと、当時絵のことに関して思うことが多々あり、締め切りまでの18日間「今までの自分史上一番の絵を描いてやる」と鼻息荒く目を血走らせながら資料をあさり、何も知らない夫にいきなり「ちょっとパンツ一枚になって右腕挙げてもらえない?左腕は腰のあたりで…」などと言い出して困惑されたり、グリザイユ画法やエフェクトのつけ方について調べ、それでも描けなくて辛くてマジ泣きしながら描いた絵が自分が愛して止まないゲームの会社に認められ、高価な賞品をもらえたことは大きな自信になりましたし、入賞を知らせる連絡が来たときは咆哮しながら泣き崩れるほど嬉しかったです。
嬉し泣きするほどの達成感を味わったその時も、16Pに4ヶ月かかった時と同じく「もう描けない」とも思いました。
しんどすぎました。
その後、現在に至るまで人体をモチーフとした創作のカラー絵を描くことはほとんどありませんでした。
それでもまあ、いろんな技法は覚えたし、人体もいくぶん描けるようになったような気もするし、と思っていましたが実際はこれです。
2回も載せる絵ではないことは重々承知しています。
でも、実際このザマなのです。
私は何もわかっていなかったのです。
5年間絵を描いてきて、一瞬思うような絵が描けるようになったかも?と思った時もありました。
しかしそのほとんどが資料を見ての模写、いわば右から左へ写すだけ、それでも膨大な時間と気力を使う必要があるにもかかわらず、その後にはちょっとした知識と燃えカスのような自分以外ほとんど何も残っていない。
なんでしょう、徹夜で机に向かってはいるけど問題集の答えを書き写しているだけで理屈は全く理解していないからテストは0点みたいな感じですかね。
その事実を理解し、問題に向き合うのに5年かかりました。
何事にも自分が納得するまで大変時間がかかる頭の固いところが実質的な私の頭の悪さだなと、日常的に自己嫌悪に陥ります。
しかしよく考えてみたら今までの人生一事が万事こういう感じだったなと思い起こされます。
もうここまで来たら自分はこういう人間だから仕方ないと受け入れるしかありません。
自分だけは自分と一生付き合っていかねばならないのですから、できるだけ自分がつきあっていきたい人間になりたいと思っています。
今の自分はこと人体に関しては0点だというのがよくわかったので、これからやっていくしかないと腹をくくりました。
だからあえて0点の絵を2回載せました。
もう怖いものなどないのです。
(3)に続きます。